<簡単なノウハウ蓄積法> 解説40 |
ノウハウ(成果を出すための方法、コツ)がわかっていれば、時間は少なくて済み、数をこなすことも可能で、ノウハウを知らない人より上手に仕事ができます。 しかし、同じ仕事を同じ期間やっても、ノウハウのたまり具合と、活用方法は十人十色であるのも事実です。 そもそもノウハウの蓄積とはどんなことでしょうか? これからの時代は、ナレッジマネジメント(ノウハウの共有化)が重要だとも言われます。しかし、実務ではノウハウの共有化が遅々として進まないのも事実です。 ノウハウの蓄積は、蓄積するのは誰かで考えると、2通りあります。1つは一人一人の個人が行なう。もう1つは、チーム、組織が行なうの2つです。ノウハウの共有化は、後者の作業の結果もたらされます。ですから、ノウハウの共有化が進まない根本的な原因は、一人一人の個人にノウハウが蓄積されていないからではないかと考えることができます。 つまり、ノウハウの共有化を行なう大前提は、一人一人の個人が確実にノウハウを蓄積することといえます。マニュアルのシートは、一人一人の個人が確実にノウハウを蓄積するために考えられたシートです。実績向上シートと呼んでいます。 記入の仕方は簡単です。処理が終わった仕事(初めて取り組んだ仕事が望ましい)の反省をしてもらうシートです。ポイントは、うまくいった要因とうまくいかなかった要因を、書き出して整理するだけです。この作業を繰り返すだけで、着実にそして確実にノウハウが蓄積されます。 企業によっては、チーム会議などで、このシートを持寄り、発表しているところもあります。この作業は正しくノウハウの共有化作業ということになります。 |
<反省は成功の母> 解説41 |
皆さんも、PDCサイクルという言葉を聞いたことがあるでしょう。多くの企業で、新人研修などで教えられる言葉です。Pはプラン(計画)の頭文字で、Dはドゥ(実行)、Cはチェック(見直し)です。つまり、仕事をやる時には、まず計画し、それを実行に移し、完了したら、その仕事の成果を見直し、評価する。その見直しを次の仕事にいかし、さらに新たな計画、実行へと移るという、仕事の進め方の定番とも言える考え方です。 チェックとは、ひとつの仕事を終えた時、うまくいったところ、うまくいかなかったところを確認し、整理するという作業です。仕事をやる度に、これを行う習慣さえ身に付けていれば、ある程度の経験を積めば、誰もが仕事の達人になれるはずです。ところが、実際には仕事の達人は少ない。PDCのうち、計画と実行は誰もがやっていることですから、つまりはチェックを行っている人が少ないということです。 生産性の方程式の3要素のひとつ、質を効率的に高めるには、このチェックを行うのが一番の早道なのです。ひとつの仕事を終え、チェックを行うことで、次の仕事では質がワンランク・アップする。質がアップすれば、生産性が向上する。ですから、どんどん仕事をし、どんどん反省し、どんどん質をあげろというのが、ここでの私のアドバイスです。だから、反省は成功の母なのです。 仕事の質を上げるというのは、他人との差別化を実現するための、大きな武器です。仕事を遂行したら必ず反省をするという、ただこれだけのことで、皆さんは金庫の同僚や、ライバル金融機関の社員に対して、確実にアドバンテージを持つことになるわけです。競争力を身に付けることは、市場で勝ち残るための必須条件ですし、リストラで生き残るための有効な武器となるはずです。 |
<生産性を決定づける専門知識> 解説42 |
生産性の向上を図るために必要なスキルとして、コミュニケーション・スキルと仕事の進め方の知識、専門知識の3つであることは、すでに説明してきました。 しかし、コミュニケーションと仕事の進め方にはページを費やしてきましたが、専門知識について詳しく語ることはしませんでした。それというのも、専門知識は業種や業態、各人の職種やポジションによって異なるからです。つまり、一般化して語ることができない。だから、頑張って修得して下さいとしか言えないのです。 しかし、内容は一般化して語れなくても、どうすれば効率的に修得できるか、その方策なら提示できます。専門知識を増やすには場数をこなすこと、つまりひとつでも多くの仕事を経験することです。新しく経験するだけ、専門知識は増える。その際、大切なのは、自分なりに仕事の出来不出来を評価し、その要因を整理・分析することです。これをやることで、得られる専門知識をより質の高いものにすることができるのです。 逆に、整理・分析をしないと、せっかくの専門知識も生半可なものでしかない。それどころか、時間が経つにつれて、きれいに忘れてしまうことにもなりかねない。そうなっては、ただ新しい仕事をやって、終えたというだけで、せっかくの経験が効果的に次に繋がらないことになってしまうのです。 ですから、専門知識を質、量ともに効率的に修得する最良の方策は、新しい仕事に取り組む度に、その仕事の評価、出来不出来の要因の整理・分析を行うことを習慣とすることなのです。 |
<目標設定と専門知識の向上> 解説43 |
仕事を効率良く遂行するには、目標が必要です。これはスポーツで例えればわかりやすい。サッカーの日本代表も、ただ「頑張れ」と言われるだけでは、何をどう頑張ればいいのかわからず、ベスト・パフォーマンスを発揮できない。W杯1次リーグ突破という目標があれば、具体的に何をやるかが見えてくる。ベルギー戦の準備として何をするか、ロシアに勝つための戦術とは何か、チュニジアとの試合では誰が何をするのか、為すべきことが具体的に把握できるのです。 目標を設定する時に肝心なのは、その目標が妥当なものであること。では、妥当な目標とは、どんなものか? この点、世にあるビジネス指南書などでは、「ちょっと頑張ればできる」くらいが妥当な目標だと説いています。この説明だけでは不親切ですが、これを具体的に言えば、例えばこれまで1時間かけてやっていた仕事する場合、「投下時間を10分だけ短縮して、50分で完遂する」ことが、ちょっと頑張ればできる目標となるのです。この手法は、会議や報告書の作成、営業マンなら顧客訪問など、継続的にやる仕事の目標設定に適しています。 もうひとつの目標設定法は、今までとは違う取り組みにチャレンジしてみることです。これは企画型の仕事に適しています。例えば、新入職員の歓迎式という仕事をする場合、会場を変えるとか、新たなイベントを企画するなど、何か違った要素を1つ2つ、取り入れることが、ちょっと頑張ればできる目標となるのです。そして皆さんに是非、理解してほしいのは、ちょっと頑張ればできる目標を設定することは、専門知識のワンランク・アップにつながるのです。1時間かけていた仕事が50分でできるようになり、新たなイベントを仕切ることができれば、専門知識の質が上がり、量が増えることになるのです。皆さんのスキルアップのためにも、目標設定は重要なビジネス要素なのです。 |