<パフォーマンスとリソーセス> 解説01
仕事を目的で分類すると2つのグループになります。1つは、市場(お客様)に影響を与える仕事。具体的に商品やサービスを開発、提供し、その対価を得る仕事です。もう1つは、会社、組織を強くする仕事。具体的には人材育成、財務、人事、総務などの仕事です。この2つの仕事はコインの裏表のように切り離すことはできませんが、コインの裏表のように認識することはできます。
もっと簡単にいえば、売上げを確保するための仕事と、会社、組織を最有効に運営する仕事といえます。前者をパフォーマンスマネジメントと呼ぶことにします。一般に組織が肥大化してくると、リソーセスの割合が大きくなる傾向にあります。社内に様々なルールが設立され、それを守るだけでも大仕事ということになるわけです。
ここで大事なことは、各個人およびチーム、組織において、実施した仕事の、パフォーマンスとリソーセスの割合がどうなっていたのかと恒常的に把握することです。売上げが落ち込んで来たのは、パフォーマンスへの投下時間が減ったからだというふうに判断ができ、対策も取れるということです。
しかし、現実はそんな単純なものではないのは当たり前です。パフォーマンスへの投下時間は増えているにも関わらず、売上げが伸びないということもしばしば発生します。そんな時もう一方のリソーセスの時間は十分取れているか、または、リソーセスがらみの仕事がトラブルもなく順調に(効率良く)処理されているかをチェックするヒントをこの考え方は教えてくれます。
ちなみにこの不況の中、好成績を長期間続けている企業の共通点は、ワンランクアップしたリソーセスマネジメントを確実にやっている企業です。
<ルーティンとプロジェクト> 解説02
仕事の進め方で分類するとたったの2種類しかありません。1つは、毎日、毎週、毎月継続的に行なうルーティン業務。もう1つは、期間限定で行なうプロジェクト業務。仕事には、様々な内容があります。進め方で振り分けると実はこの2種類しかありません。
ルーティン業務の特徴は、どれ位で処理できるかの投下時間の予測はつけられますが、具体的にやる内容は、その場になってはじめてわかるという傾向があります。一方、プロジェクト型の業務は、それとは逆で、何をやらねばならないかの具体的行動内容は、事前にわかりますが、それにどれ位時間がかかるかは、やってみないとわからないという傾向があります。
また、ルーティン業務は、もともとプロジェクト業務で、何度も繰り返すうちに、ルーティン業務に変化したと見ることができます。一般的に、ルーティン業務への投下時間が圧倒的に多い場合は、仕事が硬直状態にある可能性があります。また、プロジェクト業務への投下時間が圧倒的に多い場合は、仕事の変化が激しく、コミュニケーション、人間関係に支障が生じている可能性があります。
また、パフォーマンス・リソーセスとかけ合わせて、仕事の全体像をプロットすると、仕事の進め方の現状把握が容易にできます。
仕事に何か問題があったら、解決の方法として次のことがいえます。
ルーティン業務に問題があるのであればその仕事を一時プロジェクト型(期間限定、行動明記)で取り組むこと。逆に、プロジェクト業務に問題がある場合は、その仕事をいかにルーティン業務にするかの方法を考え、実施することです。この作業だけでも、個人の仕事だけでなく、チームの仕事も容易に改善することができます。

<投下時間を把握する> 解説03
あなたは日頃、自分がどんな仕事にどれだけの時間をかけているか、知っていますか?
多くの企業で試みられているビジネス・プロセス・リエンジニアリングでは、投下時間の検証が必ず取り入れられています。その一般的な手法は、1日のうち「会議に2時間」「商談に40分」というように、個別の業務にかけている時間を分析するというものです。
支店長しよう研修や、今回のマニュアル作成作業の中でも、投下時間の把握を行ないました。支店長の、そして組織の生産性に対し、どのように関与しているかによって仕事をグル ープ分けし、それぞれのグループで投下時間を調べるものです。つまり、A、B、C、AX、BX、CXの6つの仕事の投下時間を調べるわけです。その結果、それぞれの個人、組織の生産性の現状、その問題点が明白に浮かび上がってきます。
例えば、今回のマニュアル作成作業での調査データでは、1日の仕事時間のうち、AとAXの投下時間が60%、BとBXが30%、CとCXが10%となります。あくまで目安の数字ですが、あなたがAとAXに費やす投下時間が平均値より多いとすれば、明らかに仕事のコントロールがままならない状態にあることを意味します。また、BとBXの投下時間が少なければ、将来的に生産性が低下する危険性が高いことを意味します。
もちろん、先に挙げた平均値は、目安に過ぎません。調査対象者が管理職か、一般職員かによって基準となる数字は違いますし、得意先係か事務担当かによっても違う。企業の診断をする場合も、業種によって基準となる数字は異なります。ともかく、自分の仕事の進め方、自社の業務のあり方を知るためにも、1週間程度の投下時間の調査を行うことをお勧めします。