2-5.コミュニケーションの二つの要素(主観と客観)
   ポイント
     ・ 思い(主観)と事実(客観)でワンセット

     ・ 二つのバランスが崩れるとコミュニケーションは機能しない
1.コミュニケーションの目的は、相手に動いてもらうこと。
2.心を変えないと(感動)、人は行動を変えられない。
3.心を変えることができるのは心。
支店長の思い(心)を出そう!!
思いと事実がセットになると効果は倍増する
人は動きはじめる
  チャート図12


              
               
  関連セクション
<主観と客観を明確にする>

 
 タイトルを見て、「えらく哲学的だ」と警戒した読者もいるかも知れませんが、大して難しい話ではありません。
 これまで何度か仕事の”質”と”量”について言及しました。しかし、皆さんは私が言う「仕事の質」を具体的にイメージしにくかったはずです。それもそのはず、質が高いとか、低いとかは、自分にしかわからないもの、つまり主観的なものだからです。反面、「仕事の量」については、例えば報告書の分量とか、営業件数とか、容易にイメージできたはずです。イメージしやすいのは、数字などで表現できる、客観的なものだからです。主観的なものは他人との共通理解が難しく、客観的なものは共通理解が容易なのです。
 さて、これからが本題。どんな仕事も、主観と客観の2面性をあわせ持っています。例えば、3時からの会議に持ち寄る資料の作成という仕事を考えてみて下さい。資料作成の期限は、もちろん3時です。これは会議のメンバー全員が共通認識していること、つまり客観的な面です。では、資料作成を始めるのは何時か。これを共通理解するのは不可能です。何故なら、いつ始めるかは、ひとり一人が自分できめる、主観的なものなのです。
 仕事の主観的な面とは、個人に委ねられるものであり、個性とも言えます。だからこそ、上司であれ、同僚であれ、他人が干渉できないし、もし干渉しようとすれば、モチベーションの低下といった弊害も起こり得る。誰でも少年時代に経験があるはずです。母親に「勉強しなさい」と言われ、「テレビを見たらやろうと思ってたのに、やる気がなくなった」と答えた経験が。半分は言い訳ですが、自主性を阻害されてモチベーションが下がってしまったのも事実だったでしょう。
 ともかく、すべての仕事には他人と共通理解、合意形成が可能な客観的側面と、個人にしかコントロールできない主観的側面とが存在していることを、理解しておいて下さい。